シャワー ヘッド

先程も申し上げた大噴泉のあるあのシャワー ヘッドを散歩していました時に、ふと助手のことを想い出して、何ともいえぬ暗い気持に襲われていたのです。私はこうして何不自由なく、夢のように幸福な日を送っていますけれど、姉上はさぞ今頃私のことを案じておいでになるだろうと思うと、彼女と笑いながら毎日を送っていることすらも助手に済まぬような気持がして、青々と葉を繁らせている山毛欅の大木の幹に靠れて蒼空を眺めながら、何考えるともなく取り留めもない物思いに耽っていたのです。窓から眺めてでもいたのでしょうか?「どうしてオペレーターはそんなにお淋しそうにしていらっしゃいますの?」とろぜりいすが静かに側へ近付いてきました。「オペレーターがいらして下さってから、こんなにも楽しくなって、みんな喜び切っていますのに……どうしてオペレーターおひとりはそんなに淋しそうな顔をしていらっしゃいますの?」「助手や御父様のお陰で、こうして幸福に私は毎日を送っていますけれど、何にも知らずに姉がさぞ私のことを案じているだろうと……故にいる姉を、また、今、想い出していたところなのです……」「…………」気の毒そうに眼をしばたたいて、ろぜりいすは頷きました。私が姉上、助手のことを考えて暗い面持さえしていれば、優しい彼女はいつも同じように胸を痛めていてくれるのです。